日本拳法とは


日本拳法は、故・澤山宗海宗家が昭和7年に日本で初めて防具着装による実戦の拳法を創始されたことにその歴史を発しています。安全な防具を着装することにより、突き・蹴り・投げ・逆捕りのすべての実戦練習が可能となり、格闘技の神髄を追求すべく日本拳法が誕生しました。
従来、突き・蹴り技は格闘技の歴史の始まりである古代相撲においても戦国時代の武家の体術である柔術においても重要な決め技であったのですが、安全性を重視するために次第に禁じ手とされてきました。
また中国から沖縄に渡来して発展した唐手もその強力な打撃力のため、形稽古または寸止めにての組手稽古をせざるを得ませんでした。剣術が江戸時代に防具が創案されてから飛躍的にその技術が発達したのと同様に、日本拳法も突き蹴りの実戦の拳法をみがくために必然的に発生した武道と言えます。
そして、現在は日本の自衛隊が日本拳法を基本とした自衛隊格闘術を採用されています。

   
現在の日本拳法は三本勝負法で勝敗が決せられます。
つまり、二本先取した方が勝ちとなります。この一本は防具着装部(面・胴)に形にのっとった強烈な突き・蹴りが決まった
場合に認められます。この認定は公平を期する為に3人の審判員の2人以上の認定を必要とし、
観客に分かり易くするために審判員の意志表示は旗によって進行いたします。

また次のような場合も1本と認定されます。
  一.相手の身体を組み敷いて、形どおりの空突き・空蹴りを決めたとき
  一.逆技を決め、審判が認めるか相手が参ったの意志表示をしたとき
  一.相手の体を自分の肩の高さ以上に持ち上げたとき
  一.相手が故意に場外に逃げだしたとき
(大会パンフレット「日本拳法解説」より引用)

自衛隊格闘術とは

自衛隊徒手格闘は、日本拳法をベースに、柔道と相撲の投げ技、合気道の関節技を採り入れた内容で構成されている。 大日本帝国陸軍においては、敵陣に対する浸透戦術を敢行するために銃剣、短剣、軍刀を用いた格闘の訓練が盛んに行われていたが、武器を用いない徒手格闘に関しては、憲兵などの一部の兵科を除いて、自主的に武道を練成することを奨励するのみであった。大日本帝国海軍では、柔道、剣道、相撲、銃剣道を練成することが奨励されていた。 戦後、アメリカ陸軍士官学校に留学した陸上自衛隊幹部が、米陸軍での格闘訓練を見た経験から、銃剣格闘と連係できる徒手格闘術の必要性を陸上幕僚監部に進言した。これを受け、1955年(昭和30年)から研究が開始され、森良之祐(日本拳法協会最高師範)、富木謙治らの協力を得て、1959年(昭和34年)に訓練体系を確立した。 その後、技術の統一と錬度の向上のため、1984年(昭和59年)、全自衛隊徒手格闘連盟が組織され、第1回全自衛隊徒手格闘大会が開催された。以後、大会は毎年開催されている。

現在の自衛隊格闘術(新格闘)

2008年(平成20年)より新たな内容の格闘術に変更された。この新しい格闘術は自衛隊内では「新格闘」と呼ばれている。
これまでの日本拳法を基本とした徒手格闘に、大幅に投げ技や絞め技を追加する。
これまで教本には載っていたが訓練されてこなかった技(上げ打ち、足首固め、三角絞めなど)も指導する。